主演:原節子
原作:今日出海『この10年』
脚色:井出俊郎
監督:佐分利信
佐分利信が描きたかったのは、戦後10年たっても戦争の影響を心身ともに受け続けているいわゆる『戦争ボケ』の男たちの生き方だったのかなあ。
彼の役は初婚で、後家で子持ちの原節子と一緒になるのですが、戦時中自分の部下だった男が頼ってきたのでその妻子も同居させたり、同じく部下だった三船敏郎に妻が惹かれていくのをちゃんと止められないでずるずる過ごしていく。
ただ、佐分利信の優柔不断で事なかれ主義は戦争でそうなったのか、それとも元々そうなのか、何をしたい男なのか、その辺がよくわかりませんでした。
良平さんは、原節子と大恋愛の上結婚して一子を得るも、戦病死してしまう画家さんの役。
登場シーンは最初の方の戦場で妻子との3人の写真を握りしめて横たわっているところ。
あとは戦後、原節子が見る写真の中にでてくるだけですが、帰国して妻子に会いたいという気持ちが良く出ていて非常に印象的でした。
写真の良平さんは爽やかな二枚目で、原節子とお似合いな感じ。
他の映画での共演も見たかったなあ。