管理人の大好きな関本郁夫監督。脚本家でもありますね。
Wikipediaには"女性の恋の情念の描写では評価が高い"とありますが、管理人は『処女監禁』や『大奥浮世風呂』、『およう』などの非モテ男の描き方が好きです。
助監督時代の第一作は良平さんの主演作『車夫遊侠伝 喧嘩辰』だったとか。
そんな関本監督のことを知りたく読んでみたのが『改訂版 映画人(かつどうや)列伝』青心社 2002年。
この本、監督に興味のある方は是非読んでください。
監督としてデビューするまで、デビューしてからの紆余曲折、資金繰りに苦しんだ『およう』、
主演女優がケガしてしまった『女番長・玉突き遊び』、
"映画美術は監督以上の仕事"と言っていたという早世した美術の森田和雄の話、
師匠格の加藤泰監督や小沢茂弘監督との対談など、どの話も面白かったです。
で、後日談が非常に気になる良平さんの話。
なんと、監督が23歳の時に大江健三郎『性的人間』をシナリオにした生原稿を「ちょっと俺に貸しといてくれよ」と持って行ったきりだそうです。
当時は良平さんがフリーになった後ですから、自身で映画の企画でもしていたのでしょうか。
1967年の講談社刊『われらの文学 18 大江健三郎』におさめられたのを読んでみましたが、後半の性犯罪に手を染める主人公にどうもついていけなくて..
なんで関本監督はこれを映画にしようと思ったのか?良平さんもどこに興味をもったのでしょう。
同じ本におさめられた『セヴンティーン』は自分が何者であるか不安定さに悩む若者が右翼に魅せられていくプロセスの描写がすごく、今読んでも興味深い話だと思ったのですけど。映画にはしにくいかもしれませんけどね。
監督は"あとがきのあとがき"に『続・映画人列伝』を必ず書く、としているので、その後が知りたいです。
2020年には『映画人放浪記』という本が近日中に出版とあったのですが、どうなったんでしょうか。
1942年生まれの関本監督、お元気でいらしていただいて、あともう1本くらいは撮ってください。