おそらく日本で最高齢の現役舞台女優&現役女医である、三條三輪さん脚本主演の舞台『女優』を観てきました。
三條三輪さんは、良平さんが映画デビューする前の新演劇研究所で同じ研究生だった方。
新演劇研究所に在籍していた方で、管理人の知る範囲では今でもご健在なのは歴史家の色川大吉氏とこの三條さん。若き日の良平さんを知る、大変貴重な存在です。
三條さんの『三條三輪戯曲集 2 聖都市壊滅幻想』(1999年 カモミール社)の"自伝的エッセイ 女優と医師の二足のワラジ"では、新演劇研究所時代の思い出として、良平さんが"銚子大漁節"、当時流行ったロシア民謡の"ぐみの木"をよく歌っていたと書かれています。
三條さんはご自分で虹企画・ぐるうぷシュラという劇団を舞台俳優&劇作家の跡見梵さんと長年率いておられ、今回の公演が93回目、劇団のホームページを見ると現在は年に2-3回公演があるようです。
1950年代、新演劇研究所に入所と同時に医師になられ、今でも現役、約70年の長きにわたり女優(演出&脚本も!)と医師の二足の草鞋を履いてきたと言いますから、そのパワフルさには驚嘆するしかありません。
公演パンフレットによれば、『女優』は、1996年初演で今回が3回目の公演だそう。
売れずに年老いて生活保護を受けている女優が病院のベッドで演じたかった役を夢見て、医師や看護婦を共演者として巻き込んで、サロメ、ラネーフスカヤ夫人(櫻の園)、オフィーリア(ハムレット)など演じていくという内容。
三幕で演出家への恋情や役を盗っていく若い後輩への嫉妬、母への慕情が語られます。
ご本人は特にモデルもなく全くの空想で、とパンフレットに書いておいでですが、新演劇研究所時代、どうしてもきれいな服が着たいからと役柄にあわない豪華な舞台衣装を着てしまって演出家の先生から呆れられたという、エピソードをもつ三條さんらしく、主人公の内面は三條さんにかなり近いのではないかと。さすが女優さんです。強烈な自我を感じました。
お声は高く、綺麗で、お年を考えるとよくあんなに声が出るなと感心します。
さすがに段差を上り下りする時はゆっくりとつかまり立ちされておられましたが、サロメの踊りで脚をまっすぐにあげてポーズをとったときは驚き!また2回休憩があるとはいえ、1時間半以上も出ずっぱりで3日間4回の公演をこなすとは!
良平さんと同じ時代を生きた方が元気に活躍しているのを目の当たりにするのは非常にうれしく、感動的なことでした。
いつまでもお健やかで二足の草鞋を履き続け、希望を与えていただきたい。
また公演がありましたら観に行こうと思います。