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武智鉄二監督・脚本『幻日』1966年(撮影時42歳)

待ち望んでいたこのとき!やっと観られました!
折角の貴重な機会ですからがんばって二回観ましたよ。

1967年の『エロチシズム芸術と武智映画作品集』の誌上封切という写真と台詞の脚本のようなページがあるのですが、管理人が観たバージョンでは結末が少し違ったり、誌上には出てこない場面もあったりしました。

もしかすると複数のバージョンがあるのかもしれません。

 

今度いつ上映されるかわからないので、備忘録としてあらすじを書いておきますね。

↓あらすじ↓

・(あまり豊かとはいえない狭い家の中)女の能面を彫る庄太郎(内田良平)。

・妻(川口秀子)は乳飲み子をおぶい、立ったまま食事。

・2人の間に会話はなく妻の表情から夫婦仲は冷めている(?)らしい。

・庄太郎は芸術至上主義なのか赤ん坊が泣いても顧みない。

・庄太郎の作った能面の女が現実の女になり、立ち上がって舞う。

・能面の女に魅せられる庄太郎。

・(行きつけの喫茶店で)庄太郎がパナマ帽をマスター(津崎公平)に褒められる。

・店の鏡に映った女客(柴田恒子)が自宅で見た能面の女に見え、魅入られたようにパナマ帽を店に忘れたまま幻想の世界に入る。

・(ナイトクラブ)先ほどの喫茶店の女が歌っている。

・♪日が出るでしょう♪百年、私の墓のそばでまっていてください♪真珠貝を墓に立てて下さい♪

・(ナイトクラブの控室)坊主頭の男(役名ボス・津崎公平の二役)が女を拷問する。

・ボス曰く、『米軍がベトコンの女に拷問したやり方と同じだ』

・倒れる女にたくさんの真珠を乗せるボス。

・女が立ち上がると総真珠のワンピース姿になる。

・女を救い出す庄太郎。

・『重いですよ』と謎の微笑を浮かべる女。

・(夜の路上)女を背負って歩く庄太郎。

・『今に重くなりますよ』女の言葉通り急に女が重くなり、倒れ込んでしまう庄太郎。だが必死で女を背負って歩く。

・(夜の港)海に着くと女は100年前この場所で庄太郎に殺されたと庄太郎に話す。

・庄太郎の100年前の記憶がよみがえる。

・(回想シーン)笑いながら女の首を絞める庄太郎。

・庄太郎は後悔し、今度は自分が守るからと女に泣きながら謝る。

・(昼間の海上)坊主頭の男(ボス)に船の上で縛り付けられる庄太郎。遠く離れた海面からボートで追いかける女。

・時間通りに追いつけなかったらこの男を殺すと女を脅すボス。

・女はへとへとになるが、服を割いて海水に浸し、顔まわりを冷やしているうち、幻日(太陽が2つに見える現象)がきっかけで船に追いつく寸前まで漕ぐ。

・(船内)アナウンサー(川口秀子の二役)が無表情で"60秒"と読み上げる。

・しかしあと数秒というところで間に合わなかった。

・ボスは庄太郎を海につきおとした。女も海に飛び込んだ。

・(神社)妻に庄太郎の死を告げるマスター。庄太郎が喫茶店で忘れていったパナマ帽を妻に渡す。

・(浜辺)倒れている庄太郎と女。庄太郎が女を抱き起すと砂丘のてっぺんで真珠貝で砂を掘って埋めてほしいと女から頼まれる。

・女は死んだ。

・必死で砂丘のてっぺんに女を引きずっていく庄太郎。

・あとちょっとというところで女の死体が斜面を転がるがなんとかてっぺんまで運ぶ。

・突然死んだ女の指が天から砂浜を指す。砂浜には真珠貝が光っていた。

・走って斜面を降りて真珠貝を取りに行き砂を掘る庄太郎。

・女を埋めて真珠貝を墓標とする。

・(ぐるぐる巻かれた鉄条網の天井の下)妻が男に抱かれている(寝とった男(喫茶店のマスター)は顔は見えない)ところに爆撃のような音がかぶさる。

・黒いカラスが庄太郎の腕にくるが女の生まれ変わりでは無い!と放す。

・気づくと百合の蕾が墓標の横から伸びていた。

・太陽の光を浴びて開く花。

・女を埋めたところを掘り返し百合の花を抱いて砂に埋もれていく庄太郎。

・終わり

※管理人が観たのはこのラストなのですが、上述の『エロチシズム作品集』には、若い民族芸術家が流木を拾って掘っていくと能面が出てくるという場面になっていました。

 

長くなるので次回に感想などを書きます。