主演:久我美子
監督:小林正樹
脚本:楠田芳子(潤色:松山善三)
あ~久我美子になりたい!
切実に思いました。
だって天下の二枚目・佐田啓二が夫、
幼馴染で自分を好きでいてくれる男が内田良平ですよ!
なんという贅沢!
タイプの違うハンサムから好かれるって困っちゃう~、どうしよう~?と映画なのに真剣に悩んでしまいました。
これで佐田啓二が頼りない夫だったら、久我美子も揺れるのでしょうが…。
姑・浦辺粂子&小姑・高峰秀子という敵に回したくない最強コンビから妻をかばうわ、妻の幼馴染の男に手土産を持たせるわという、現実ではあり得ない、だけど佐田啓二ならあり得るかも、うん、と観客を納得させてしまう良く出来た夫なので、久我美子もそれほどよろめかずに済むのですね。
良平さんは本当は久我美子のことが好きなんだけど、男らしく自分の感情を抑えます。
『ご主人が待っているから早く帰った方がいい』と彼女を送り、佐田啓二に会うとちゃんと挨拶をして、故郷に帰るというなかなか難しい役どころ。
良平さんがやると、『この人は孤独な人なのかも。ふるさとに帰ってもやってけるかな』と思わせ、強い印象を残していました。
佐田啓二と高峰秀子の弟役、石濱朗が『映画監督小林正樹』(岩波書店・2016年発行)で語っていますが、内田良平の演じた役がなかなか決まらなくて、やっと決まったとき、小林正樹監督が『彼、なかなかいいだろう』と石濱朗に言ったそうです。
良平さんの映画出演の初期は小林正樹監督が多いのですね。
小林監督が良平さんのどこを見込んだのか、もっと詳しく知りたい気がしました。